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闇。 すべてを包み込むような、闇。 その中をたゆたう彼女の精神は、ふと、ありえないものを見つけた。 (―――光?) 淡く儚い、ただひとつの光点。 何気なくそれに近づいていった彼女は、 「―――の再構成を確認。メモリ同期完了。禁則プログラムの付与を申請」 その言葉で、声で完全に、 (―――ッ!?) 目を、醒ました。 NEXT?
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~新年編~ 第1話 キョン「明けましておめでとう、朝倉」 朝倉「今年もよろしくね、キョン君」 キョン「はは」 朝倉「ふふふ♪」 キョン「なんだかこうやって改まると恥ずかしいな」 朝倉「でもお正月らしくていいじゃない♪」 キョン「しかしなぁ…」 朝倉「どうしたの?」 キョン「まさか、こうして朝倉の家で年を越すことになるとはな。去年までの俺たちじゃ考えられないことだな」 朝倉「そうね…でもまぁ、それは……その、あたしたちがこうして……ゴニョゴニョ」 キョン「こうして付き合ってるから、だろ?」 朝倉「う、うん(///)」 キョン「朝倉」 朝倉「?」 キョン「好きだよ」 朝倉「い、いきなり何言い出すのよ!!(///)」 キョン「俺はただ自分の思うがままのことを言っただけだ。朝倉は?」 朝倉「あ、あたしも……」 キョン「なんだって?」 朝倉「そ、その……」 キョン「どうした?全然聞こえないぞ?」 朝倉「…うるさいわねッ!恥ずかしいの!!キョン君のくせに生意気よ!?お仕置きね、じゃ死んで♪」 キョン「ちょwwひさびさwww」 朝倉「一年の計はキョン君を殺すことにあり、よね?」 キョン「(こうして再び俺は朝倉に刺され続けるわけか、しかしそれも悪くない……はぁはぁ)グフッ」 朝倉「あたしも大好きよキョン君♪」 第2話 キョン「じゃあ初詣に行くか」 朝倉「そうね」 ・ ・ ・ ・ ・ キョン「しかし…ひどい混みようだな」 朝倉「お参りに何時間かかるかわからないわね」 キョン「これだけ人がいたらその辺に知り合いもいるかもな、ははh」 ハルヒ「キョンッッ!!」 朝倉「あらあら♪」 キョン「はぁ…さっそくか」 ハルヒ「ちょっとキョン!あんた電話に出なさいよね!!あたしが何回電話したと思ってんの!?」 キョン「ん?あぁ悪い気づかなかった」 ハルヒ「あんたねぇ、団員としての自覚あるわけ!?たるんでるわよ!!罰として、その……初詣の間あたしに付き添いなさい!!」 キョン「はぁ?」 ハルヒ「団長命令よ!!あんたもどうせ一人でしょ?」 キョン「え!?…いや、その……」 朝倉「いいじゃない。みんなで一緒にお参りしましょ♪」 ハルヒ「え……?あさ…、くら?なんでキョンと…?」 キョン「その……、そ、そう!さっきそこでたまたま会ったんだよ、うん」 朝倉「え?(キョン君?)」 ハルヒ「ほんと?」 キョン「本当だよ!なぁ朝倉?」 朝倉「え?あぁ…そうね」 キョン「な?」 ハルヒ「ふーん…まぁ信じてあげるわ。んじゃさっさと並ぶわよ」 キョン「ふぅ……」 朝倉「(ちょっとキョン君?)」 キョン「(朝倉、目が怖いぞ?)」 朝倉「(今のはどういうこと?なんで嘘ついたの?)」 キョン「(いや、その…なんというか…。あいつに俺たちが付き合ってることがバレるといろいろと面倒なんだよ…)」 朝倉「(なんで?)」 キョン「(世界が崩壊しかねん)」 朝倉「(……そういうことね)」 キョン「(だから当分の間は俺たちのことは黙っていよう)」 朝倉「(ふぅ、しょうがないわね……)」 キョン「(すまん…)」 朝倉「(いいのよ。涼宮さんが知らなくてもあたしたちが付き合ってるという事実は変わらないんだものね♪)」 キョン「(朝倉…)」 ハルヒ「ちょっとあんたたち早く来なさいよ!」 朝倉「行きましょ♪」 キョン「ありがとな朝倉」 朝倉「ふふ♪ほらほら早く!待たせちゃ悪いわよ」 キョン「よし、行くか!」 ハルヒ「早くしなさいよね!!」 第3話 ハルヒ「しっかし混んでるわね」 キョン「初詣だからな」 ハルヒ「キョンなんか買ってきて」 キョン「はぁ?」 ハルヒ「蕎麦しか食べてないからお腹すいたのよ!出店で何か買ってきなさい! !」 キョン「しょうがねぇなぁ…じゃあ二人は並んでてくれよ」 朝倉「ごめんね?」 ハルヒ「いいのよ謝らなくても!」 キョン「やれやれ」 ・ ・ ・ キョン「さぁて何を買うかな…ん?あれは……」 長門「モグモグ…おかわり……モグモグ」 キョン「長門、こんなとこに来てまで飯か?」 長門「モグモグ…小腹が空いただけ」 キョン「小腹ってレベルじゃねぇだろその皿の山は」 長門「食べる?」 キョン「いやいいよ。ところで一人か?」 長門「今はわたし一人」 キョン「聞き方を間違えたな。ここには一人で来たのか?」 長門「3人で来た」 キョン「3人と言うと、古泉と朝比奈さんか?」 長門「そう」 キョン「二人はどこに行ったんだ?」 長門「一緒に並んでいたのにもかかわらず、わたしがちょっと道に逸れただけでどこかへ行った」 キョン「逸れたおまえが悪いだろ。きっとおまえのこと探してるぞ?」 古泉「長門さぁーん!!」 キョン「ほらな」 古泉「どこに行ってたんですか?探しましたよ」 キョン「よっ」 古泉「おや、二人一緒にいたのですか。あなたがここにいるということは彼女も?」 キョン「あぁ、朝倉と一緒に来たんだ。途中でハルヒも合流してな」 古泉「あなた方の関係はばれてないですよね?」 キョン「大丈夫だ。おまえらも俺たちと一緒に行動しないか?」 古泉「よろしいのですか?両手に花というのも悪くないのでは?」 キョン「うるさいぞ」 長門「行く」 古泉「それでは僕もご一緒させてもらいますね」 キョン「じゃあとりあえずハルヒの飯を買ってくぞ。手伝ってくれ」 古泉「僕たちの分も買っていただけるのですか」 キョン「そんなもんは知るか。行くぞ」 古泉「おやおや」 みくる「みんなどこでしゅかぁ~。古泉く~ん、長門しゃ~ん。…はぐれてしま いましゅた。まったくみんな情けないでしゅね」 第4話 ハルヒ「まだ物足りないけどまぁいいわ」 キョン「どれだけ食う気だったんだよ」 ハルヒ「でも、まさかみんな来てるとは思わなかったわ、って…みくるちゃんは?」 古泉「そういえばいませんね」 みくる「へっきし」 古泉「たしか最初から僕と長門さんしかいませんでしたよ」 ハルヒ「あらそうなの?」 長門「そう」 みくる「へっきし!」 ハルヒ「じゃあ電話でもしてあげましょうか……圏外ね。しょうがないわね、あきらめましょ」 みくる「へっきし!!さっきから誰かが噂してるんでしゅかねぇ。もしかして美人とか言われてるかもしれましぇんね」 第5話 ・ ・ ・ ・ キョン「やっと順番が来たな」 朝倉「さぁお参りしましょ」 一同「……」 朝倉「……」 キョン「……」 ・ ・ ・ ハルヒ「じゃあ今日はここで解散!!みんな気をつけんのよ!!」 古泉「それではまた」 長門「…」 キョン「じゃあな」 朝倉「おやすみなさい」 キョン「長門のやつ、帰り道は朝倉と一緒のくせに俺たちに気を遣ったのか?」 朝倉「食べ足りないって言ってどこかへ言っちゃったわね。後でお礼言わなきゃ 」 キョン「そうだな。で…」 朝倉「なぁに?」 キョン「さっきは何を願ったんだ?」 朝倉「お参りのこと?ふふ、秘密よ♪しゃべったら叶わないかもしれないじゃない?」 キョン「教えてくれよ」 朝倉「だ~め♪」ダッ キョン「あっ、逃げないで教えてくれよ!」 朝倉「ふふ♪(いつまでもキョン君と一緒にいられますようにって願ったのよ♪)」 ~新年編~完
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滝田洋二郎の過去作品 痴漢女教師 (1981年) 痴漢電車 もっと続けて (1982年) 官能団地 上つき下つき刺激つき (1982年) 痴漢電車 満員豆さがし (1982年) 痴漢電車 ルミ子のお尻(1983年) 痴漢電車 けい子のヒップ(1983年) 痴漢電車 百恵のお尻(1983年) 連続暴姦(1983年) 痴漢電車 下着検札(1984年) 痴漢電車 ちんちん発車(1984年) グッバイボーイ(1984年) OL24時 媚娼女(1984年) 真昼の切り裂き魔(1984年) 痴漢電車 極秘本番(1984年) 痴漢保険室(1984年) ザ・緊縛(1984年) 痴漢電車 聖子のお尻(1985年) 桃色身体検査(1985年) 痴漢電車 車内で一発(1985年) 痴漢通勤バス(1985年) 痴漢電車 あと奥まで1cm(1985年) 絶倫ギャル やる気ムンムン(1985年) ザ・マニア 快感生体実験(1986年) 痴漢宅配便(1986年) はみ出しスクール水着(1986年) 正直おくりびとなんかよりよっぽど観たいです><
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痴漢逆転無罪:「胸すく思い」笑顔なく 名倉さん、捜査に怒り (毎日新聞 2009年)◇最高裁の異例の判決、評価と批判 ◇最高裁の機能からすれば許されないこと ◇自浄作用を発揮 痴漢逆転無罪:「胸すく思い」笑顔なく 名倉さん、捜査に怒り (毎日新聞 2009年) 「胸のすく思いです」。 通勤中の満員電車で痴漢をしたとして強制わいせつ罪に問われた防衛医科大教授、名倉(なぐら)正博さん(63)は14日、3年がかりで勝ち取った最高裁の逆転無罪判決をそう表現した。 しかし、約1時間に及ぶ記者会見で笑顔はほとんどない。 「他にも犯罪者の汚名を着せられている人がいる。有頂天にはなれない」。 人生を一瞬で暗転させた捜査や裁判への怒りと強い不信感がにじんだ。 95年に女子高の国語教師から大学講師に転身した。 助教授から教授(国語・国文学)に昇格したわずか18日目の06年4月18日、通勤中に突然逮捕された。 「やっていない」 言い分に耳を傾ける警察官はいなかった。 「DNA鑑定をやる」 そう告げられた時、「無実と分かる」と喜んだ。 しかし、なぜか鑑定は行われなかった。 拘置期間は30日に及び、研究室や自宅に捜索が入った。 最初の1年は気の抜けた状態になり、その後は「自分を立て直そう」と自宅で論文だけは書き続けた。 逆転判決は妻や長女とともに法廷で聞いた。 その瞬間「急に全身の力が抜けた」 閉廷後、弁護士らと握手を交わす。しかし表情は崩れない。 続いて東京・霞が関の司法記者クラブで開かれた記者会見で「今日、最高裁に来るまで収監を覚悟していた。当たり前のことをなぜ分かっていただけないのか。司法に対する不信感が渦巻いていた。判決が(証拠の)不合理な点を認めた点は胸がすく」と言葉を選んだ。 「きちんとした初動捜査なり、証拠の検討がなされたのか。人の一生をどう考えているのか」と捜査・司法への怒りの言葉が並ぶ。被害女性に対しては「悪意があったなら憎むが対立した場面もない。何も申し上げられません」とだけ述べた。 支えとなった妻に質問が及ぶと涙声に。 「僕も家内も涙がにじんで何も言えず『ありがとう』とだけ言いました」と明かした。防衛医大は14日、復職に向けた手続きに入った。 ◇最高裁の異例の判決、評価と批判 最高裁が出した痴漢事件で初めての逆転無罪判決に、関係者から評価や批判の声が上がった。 ある検察幹部は「無罪にするなら『審理を尽くしていない』と高裁に差し戻すべきだ。書面だけで事実認定を変えるのは例外中の例外」と強く批判した。 ◇最高裁の機能からすれば許されないこと 元最高検検事の土本武司・筑波大名誉教授(刑事法)の話 最高裁は、2審判決の事実認定に大きな不合理があったかという観点から判断する。今回は、2審判決を覆して無罪にするまでの事実誤認があったとは言えず、最高裁の機能からすれば、許されないことだ。 最高裁ががっぷり取り組んだ判決の影響は大きい。 今後は、身動きが取れないラッシュアワーで、痴漢に遭った被害者が勇気を持って届けても、駅員や警察官の対応が消極的になったり、無罪が相次ぐ事態も想定される。 ◇自浄作用を発揮 痴漢冤罪(えんざい)に関する著書がある元判事の井上薫弁護士の話。 客観証拠がなく被害者と被告の主張が水掛け論になる事態は、無罪の結論が導かれるのは当然だ。従来の痴漢裁判は事実上「推定有罪」が原則になり、検察側も起訴のハードルを下げてきた。 被害者に分からないよう間に人を挟んで痴漢をするケースもあるようで、被害証言だけを有罪の根拠とするのは危険。最高裁判決は「推定無罪」の大原則に立ち返ったもので司法が自浄作用を発揮した正しい判断と言える。
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闇。 すべてを包み込むような、闇。 その中をたゆたう彼女の精神は、ふと、ありえないものを見つけた。 (―――光?) 淡く儚い、ただひとつの光点。 何気なくそれに近づいていった彼女は、 「―――の再構成を確認。メモリ同期完了。禁則プログラムの付与を申請」 その言葉で、声で完全に、 (―――ッ!?) 目を、醒ました。 NEXT?
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新章:snipe 部室のドアを開けると朝比奈さんがメイド服から制服に着替えて、まだ下校時間には早すぎるというのに帰ろうとしていた。 「あ、丁度よかったです。あたし、ちょっと急用ができちゃったんで……今日はこれで帰っちゃっても大丈夫ですか?」 「もう帰るの? うーん、それじゃ今日はこれで解散にしましょっか。ところで……ミヨキチちゃんはどこ?」 妹を引き連れて部室を出ていたのは、ハルヒと俺、それと古泉の四人だ。コンピ研の部室に行った長門はもとより、朝比奈さんと美代子は部室に残っていたわけだが、今は朝比奈さんしか残っていない。ハルヒが疑問に思うには当然であり、俺もしかりだ。 「え? みなさんが部室を出てから、すぐに後を追いかけて行きましたけど……会いませんでした?」 「そうなの? 誰か見かけた?」 古泉が首を横に振る。妹も横に振る。俺も見てない。 嫌な予感がした。 「変ねぇ……迷っちゃったのかしら? キョン、あんた探しに行ってきなさいよ」 言われるまでもない。これで解散ということで自分の荷物と、ついでに美代子のランドセルを持って部室を出た俺は、やや早歩きで部室棟から本校舎に向かいつつ携帯を手に取った。 電話をかける。 …………。 出ない。 続けてメールを送り、それから駆け足で校内を移動した。美代子が携帯を持っていないわけがない。あいつと妹が北高にやってきたことを伝えたのは、向こうからのメールだ。 いったいどこをほっつき歩いてるんだ? 久しぶりの北高で、感傷にでも浸ってあっちこっち歩き回ってるのか? まさかな。 相手は朝倉だ。感傷に浸るなんて感情があるのかどうか怪しい。それに、いくらなんでも電話をかければ出るだろう。それで電話に出ないというのは怪しいさ大爆発だ。電波が届かないところにいる、ってわけでもない。ちゃんと呼び出しコールは鳴っていたから、電波の届くところにはいるはずだ。 いったいどこでどんな悪巧みをしているかわかったもんじゃない。その悪巧みも年相応の可愛らしいもんならまだいいが、あいつの悪巧みは人の生死が関わっていそうな気がする。 俺はもう一度、自分の携帯を取り出してコールしたまま校内を歩き回った。 ヴヴヴヴヴ、と耳障りな音が聞こえたのは、俺のクラスの教室前でのことだった。人の気配が途絶えた廊下で、落ちていた携帯が震えている。 自分の携帯を切ると、落ちていた携帯はバイブレーションを止めた。携帯を拾い、勘違いなら申し訳ないと思いつつも着信履歴を見ると、俺の番号が映し出される。着信時間は今さっき。 間違いなく、この携帯は美代子のものだ。 落としたのか? あいつが落とし物? 違和感ありまくりだ。 自分の携帯と美代子の携帯をスラックスのポケットの中に突っ込み、教室のドアを開ける。中には誰もいなかった。 「キョンくん、ごめんなさぁ~い!」 「え?」 突如聞き慣れた声が耳に届いたかと思えば、体全身を使ってのタックルで俺はドアの前から突き飛ばされた。と同時に、耳に届くのはガラスが砕ける粉砕音。何事かと思って廊下の窓に目を向ければ、ガラスには丸い穴と蜘蛛の巣のようなヒビが走っている。それも、廊下側だけではなく教室の窓もだ。 「な、なんだ!?」 「こ、こっち! こっちです、早く~っ!」 いまいち状況を把握しきれていない俺を、吹っ飛ばした相手が手を引いて走り出す。何をそんなに慌てているのか知らないが、引っ張り込まれたのは屋上へ出るドアの前。SOS団設立の際にハルヒに引っ張り込まれた件の場所だ。 いったい何がどうなってるんだ? どうして俺が突き飛ばされて、挙げ句の果てにこんな場所に連れ込まれなければならないんだ? 状況が違えば嬉しいシチュエーションだが、今は困惑するしかない。 「だ、大丈夫でしたか? よかったぁ、間に合って」 「大丈夫は大丈夫ですが……どういうことなんですか、朝比奈さん」 俺を突き飛ばしたのは朝比奈さんだ。急用があって帰ったはずなのに、なんでまだ校内に残っていたんだ? 「どういうことって……あたしの方も理由を聞きたいくらいなんですぅ。未来からの最優先事項の指示で、さっきのあの時間、キョンくんを力一杯突き飛ばしたら、ここまで全速力で連れて行けって。そうしたらガラスがぱりーんって割れちゃうじゃないですかぁ~。もう、あたしびっくりしちゃって」 またか……またこのパターンか。朝比奈さんは、ただ未来の指示に従って行動しただけで、理由は何も分からず終いか。こりゃもう、朝比奈さんに聞いたところで何もわからないことは確定だ。 「また未来絡みの厄介事ですか?」 「うーん、どうなんでしょう? あ、これ禁則事項じゃないですよ。本当にあたしもわからなくて……ごめんなさい」 「いえ、別に謝ることじゃないですよ」 美代子を捜していたら朝比奈さんに突き飛ばされてこの状況、か……。何か変だな。どこかおかしくないか? ちょっとこれまでの経験をふまえて考えてみよう。 朝比奈さんが俺を突き飛ばしたのは、未来からの指令でだ。未来から指令が来る、ということは、そうしなければ朝比奈さんが知っている未来と食い違うことになるからだろう。つまりあそこで俺を突き飛ばしていなかったら、朝比奈さんの未来にとって都合の悪いことになっていた、というわけだ。 そういやガラスが割れていたな。教室と廊下の窓のガラスだ。それが──パッと見の感覚だが──ほぼ同じ位置に穴が空き、同じような壊れ方をしていた。廊下の割れたガラスの破片は外に落ちていたから、教室側の窓の外から何かが飛んできたんだろう。 待てよ? もしあそこに俺が立ったままだったら……二枚のガラスを割ったその正体に貫かれていたんじゃないか? だとしたら死んでるよなぁ……え? もしかして、もしかしなくてもだが……俺が狙われていたってことか? 「キョンくん、どうしたんですか?」 おそらく青くなっているであろう俺を見て、朝比奈さんが訝しげな表情を浮かべる。 まずい。俺が狙われたって話をすれば、朝比奈さんのことだ。卒倒しかねない。 「いや、何でもないです。大丈夫です。えーっと、それで俺たち、いつまでここにいればいいんですか?」 「あ、そういえば『いつまで』って指示はないです。もういいのかな?」 「うーん、ちょっと待ってください」 たとえ『もう平気だ』となっても、すんなり動く気にはなれない。またいつどこで狙われるかわかったもんじゃないからな。 俺は自分の携帯を取り出し、まず真っ先に電話しなければならない相手を呼び出した。 こういう状況にうってつけな知り合いがいて、本当に助かる。むしろ、こういうときくらいは活躍してくれと願うばかりだ。 『もしもし』 すぐに古泉は出てくれた。 「俺だ。今、そっちには誰がいる?」 『今ですか? 涼宮さんとあなたの妹さんがいますよ。なかなか戻ってこなくて、先に帰ろうかという話になっているところです』 のほほんとした口調だな。この様子だと、俺が狙われたってことを知らないらしい。 「ハルヒや妹に気取られないように聞いてくれ。どうやら俺は今、何者かに狙われたらしい」 電話越しでも、古泉の雰囲気が普段のチャラけた感じから引き締まったものに切り替わるのを感じる。こいつでも驚くということがあるらしい。 『冗談……ではなさそうですね。このままで大丈夫です。二人は目の届くところにいますが、会話は聞かれていません』 「わかった。それでだ、俺の方は朝比奈さんのおかげで難を逃れたが、この狙いが俺だけなのか、それとも俺たちなのかわからん。おまえの方で何か知らないか?」 『申し訳ありません。この件に関しては『機関』の方からも何も情報は入っていないもので、僕としても寝耳に水です。ただ──状況が状況ですから白状しますが──涼宮さんに限って言えば、大統領警護クラスのガードを行っているので、万が一もありません。そちらの現状を教えていただけますか?』 俺は自分の教室前の出来事から、ここに至るまでの状況を詳しく説明した。ちゃんと話をしたつもりだが、なにぶん俺としても初めてのことだ。妙なテンションになって、正確に伝わっているのか自信がない。 『つまり、狙撃されたということですか?』 狙撃……そうか、あのガラスの割れ方は、弾痕ってわけかー……ってなんだって!? どうして一介の一般人たる平凡で健全な男子高校生が、通い慣れた普通の高校で狙撃されなきゃならんのだ! 『落ち着いてください。今、屋上に出る扉の前にいるのですね? そこなら窓も磨りガラスですし、あなたの姿が外から見えません。おまけに狙撃できる場所もないですからね。それと……ひとつ気になったのですが、朝倉涼子は見つかりましたか?』 朝倉? ああ、そういやあいつのことをすっかり忘れて……まさか、そういうことだと言いたいのか? 『可能性としてはかなり高い確率だと思います。ともかく、そちらへ森を向かわせました。すぐに到着すると思います。こちらは涼宮さんと妹さんを責任持って送り届けますので、ご安心ください』 「ああ、わかった。しばらく大人しくしているよ」 通話を終えて、ため息を吐く。これが……朝倉の仕業だと言うのか? 古泉がそう考えるのも無理はない。もし狙われたのが別の誰かだったら、俺だってそう思うだろう。だがなぁ……。 「キョンくん……大丈夫なんですか?」 傍らにいる朝比奈さんが、今にも泣き出しそうな顔をしている。やばいやばい、どんな理由であれ、朝比奈さんに涙を流させるなんてもってのほかだ。 「大丈夫ですよ。ただ、状況がいまいち不明ですからね。古泉に、大人の人が迎えに来てくれるように頼みました。朝比奈さんも知ってるでしょう? 夏と冬の合宿でお世話になった森さんですよ。ここまで来てくれるそうですから、もうしばらく我慢しておきましょう」 「そうなんですかぁ、よかったー」 その台詞で笑顔を取り戻した朝比奈さんにホッとため息を吐き、俺はふと思い出して拾った美代子の携帯を取り出す。 ロックがかかっていないことは確認済みだ。あいつがどんな相手と連絡を取っているのか、もしかするとそれである程度のことがわかるかもしれない。同じメーカーの携帯なので、使い方はなんとなくわかる。 メールを見ると、ほぼ自分から誰かに送った痕跡はない。消しているのかもしれないが、あいつがメールを送っているのは……どうも俺だけのようだ。逆に送られてきているメールは、学校での友達か家族だけのようで、それに対しての返信もほぼなかった。 通話に関しても同じだ。着信はあちこちからあるようだが、発信頻度はほぼゼロ。掛けている相手は、これまた俺くらいときたもんだ。 調べてはっきりしたのは、美代子が携帯をまったく活用してないってことだけ。自分から掛けている相手が俺だけってのも問題がありそうだが、俺が狙われた理由を携帯から探り出すことは不可能っぽいな。 これとは別の携帯を持っているなら話は別だが、少なくとも美代子の背後関係では、古泉が所属する『機関』と似たような秘密結社みたいな時代錯誤も甚だしい奴らはいないということになる。だからこそ、あの狙撃が美代子の手によるものだとは思えない。 改めて言おう。あいつは朝倉だが、その中身の半分と家庭環境はミヨキチなんだ。本人に関して言えばやや特異な状況だが、家族については俺と同じ普通の一般家庭のはず。おまけに小学六年生だ。 そんなヤツが、どうやって狙撃用の銃なんぞを入手するってんだ? 古泉は疑っているようだが、俺にはどうも納得できない。そりゃ、かつては朝倉に命を狙われていたが、今回はやり方が……なんというか、スマートすぎる。あの狙撃は、位置を考えると俺の頭を狙っていた。命中していれば即死コースだ。 今のあいつが何を考えているのかなんてさっぱりだが、ひとつだけ言えるのは、改変された世界のこととは言え、あいつは俺を苦しませて殺そうとしていた。自分が殺されることなんて考えたくもないが、即死させる真似はしない気がする。おまけに粗悪品の短銃でさえ入手困難な現代日本で、おいそれと狙撃用のライフルなんて入手できるもんじゃない。 だが……美代子の行方がわからないのも事実だ。狙撃される前まで、俺は校内を歩き回った。けれどどこにもいない。もしかすると、校内にはいないのかもしれない。 だったらどこに行った? って話になるが……まったく見当が付かない。 何だろう。胸の奥がざわつくような、この嫌な感覚は……何なんだ? 次のページへ
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「遅かったわね・・・・・・あれ、それは何?」 「カレ―。キョン君の家でもらったの」 長門さんは嬉しそうに答える。 最近では、週に一度はキョン君の家に、長門さんは寄り道している。長門さんが拾って、キョン君が飼っている 三毛猫・シャミセンの様子を見に行っているのだ。 最もそれだけでなく、一緒に勉強したり、学園祭に向けた準備をしているようだけど、夏休みの終わり頃から二人 の距離は縮まっているように感じる。 長門さんが書いた恋愛小説。あれは長門さんとキョン君の物語。 長門さんの話によれば、キョン君は中学時代の長門さんとの出会いを忘れてはいなかった。 それは長門さんの願い。七夕の日に星に願った事。 キョン君と最も親密なのは誰が見ても佐々木さんだ。あの二人の間には誰も入り込めないような気がする。 長門さんだって、そのことは解っている。だけど、彼女はキョン君のことが好きなんだろう。 自分が好きな人が、自分を好きになってくれる。 言葉にすれば簡単なことだけど、一番難しいことだ。恋愛は理屈じゃない。 学園祭で文芸部が出す文芸部誌のサンプルが今日出来たので、最終確認を行う。 最初は文芸部部員だけで執筆するつもりだったのが、何故かSOS団の団員達や喜緑先輩までもが執筆者に加わり、 文芸部誌は結構充実した内容になった。手前味噌になるけど、かなり読みごたえがある、面白いものになっている。 新生文芸部が生み出す第一弾としてはいいものだと思う。 ”そういえば、喜緑先輩も生徒会長と付き合っているんだったけ” 切れ者の少し鋭い感じのする生徒会長。温和な喜緑先輩と合うのかなと思っていたけど、うまくやっているようだ。 あの生徒会長が喜緑先輩とデ-トしている姿なんて、あんまり想像できないけど。 キョン君や佐々木さん、あるいは長門さんや喜緑先輩、それに国木田くんや古泉君立ちを見ていると、私も少し羨ましい気分になる。 恋愛がすべていい形になるとは限らない。思いが届かない、実らない恋もあるだろう。 それでも、誰かを好きになる、その思いは私には輝いて見える。 ”誰かいい人いないかな” 思わず心の中でそう呟いた。 同時刻 キョンの家。 「キョン君、電話だよー」 妹が大きな声で俺を呼ぶ。 「電話?誰からだ?」 少なくとも、この言葉を発したとき、俺の頭の中から最低十人は除外されていた。何か用事があれば携帯にかけてくるからだ。 「ナカガワさんとか言っているよ」 ナカガワ?ナカガワ・・・ナカガワ・・・・・・ 何度か繰り返し、俺はようやく該当する名前にたどり着いた。 「中河か」 しかし、なんであいつが?奴は佐々木と同じく、中学三年の時一緒のクラスだったが、そんなに親しかったわけじゃない。 ガタイが良くてラグビーか何かやっていたはずだが、そいつが何の用事だ? 首をかしげながら、俺は部屋を出て電話の所へ向かった。 「おお、キョンか。俺は一日千秋の思いでお前が電話に出てくれるのを待っていた」 電話口で、いきなり大げさな元クラスメートの声を聞き、俺は一瞬電話をこのまま切ろうかと思ったが、とりあ えず、会話を続けることにした。 「突然の電話でお前も驚いていると思うが、しかし、俺は今藁にもすがる思いなのだ。頼む、キョン。お前を男 と見込んで頼みたい事がある」 まあ、だいたいそんなことだろうとは思っていた。大して話したこともない奴がいきなり電話をよこすのは、何 か下心があって頼み事をするためであるという可能性が高いのだ。 しかし、俺に頼みごととは何だろうか? 「実はだ、キョン。俺には好きな人ができたのだ」 ほう、それはいいことじゃないか。で、どんな子なんだ? 「それがよくわからん。まだ喋ったことがない。実を言うと名前も知らない。しかし、北高の生徒であることは わかっているんだ」 かなり漠然としているな。北高の生徒だと言っても結構いるぞ。 「お前の言うとおりだ。その子を見かけたのは春先のことだったんだ。高校に入学して少し時間が経っていたん だが、ある日北高の制服を着た彼女に出会ってな、俺は一目惚れをしてしまったんだ」 一目惚れか。話には聞くが、それを体験した人物を知るのは初めてだ。 「俺もどちらかといえば、一目惚れなどありえんと考えていたんだが、自分がそうなって考え方を変えた。人間、 何事も経験だ」 しかし、相手のことが解らなければ、その気持ちを伝えようがあるまい。 「お前の言うとおりだ。その後何度か見かけたんだが、声をかけられるタイミングがなくてな。ところが、ついこの間、 彼女がお前といるところを見かけてな、お前の佐々木と国木田もその場にいたのだが、俺は迷った挙句、お前に電話をす ることを決めたんだ」 なるほどな。ところで中河、『お前の佐々木』とはどういう発言だ。 「隠さなくてもいい。お前たち二人の仲はもはや公認のものだろう。それより、俺の話を聞いてくれ。かなりお前は彼 女と親しげに話を話をしていたようだったのでな。お前なら大丈夫と思ったのだ」 俺たちを見かけたのはいつのことだ。 「つい二日前ほどだ。駅の近くだった」 その日は学園祭に必要な物を買いに行った日だ。 あの日は文芸部の部員たちと喜緑さん、それに鶴屋さんも一緒に買い物に行ったのだ。 中河が一目惚れしたのは、佐々木を除いた残り4人の誰かだ。 一体誰だろう?何か特徴があるのかね。 「まずかなりの美人だった」 それだけではわからん。佐々木も含めて皆美人ぞろいだからな。 「いつも微笑んでいるような雰囲気を持っていた。そして髪が長い」 この時点で長門と喜緑さんが除外された。二人ともそんなに長く伸ばしていない。特に長門はショ-トカットだし、それがよく似合う。 「あと、眉毛がけっこう太かった。変に細くしていなくて、ナチュラルな感じが実に良かった」 「朝倉か」 我がクラスの委員長にして長門の親友、朝倉涼子だった。 谷口があいつの独自ランキングでかなり高評価をつけていたが、成程中河も目が高い。 「朝倉さんというのか。そうか、ありがとうキョン。ついでにフルネ-ムを教えてくれないか」 朝倉涼子だ。字面はわかるか? 「ん、なるほど・・・・・・なんて素晴らしい名前だ。あらためてお礼を言う。それとキョン。もうひとつ頼みたいことがある。こっちの 方が重要なのだ。心苦しいが是非に頼む」 電話の向こうで頭を下げまくっている中河の姿が想像できた。
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「……おい、国木田、今、何と言った?」 「え? ……だから、光陽園の、涼宮…… あれ、この名前って、確かキョンが前に―――」 「涼宮ハルヒって……あの、涼宮ハルヒかよ。あいつが、何だって!?」 「し、知ってるの? だから……刺し殺されたって」 「……マジかよ。信じられねえ……あの涼宮が?」 「……そんな有名な人なの?」 「有名も何も、あいつのことを知らないやつなんて、東中出身者には…… ……おい、キョン?」 俺の名前を呼ぶ、谷口の声がした気がした。 が、それに反応を返す余力など、俺には残されていなかった。 ―――ああ。 俺は本物の大馬鹿者だ。 北高にハルヒが居ない。 ただそれだけで、この世界からハルヒが消えてしまったと、勝手に決め付けていた。 俺はハルヒを見つけることが出来なかったのだ。 ◆ ずいぶんと長い時間が経過したのだろう。すでに窓の外は、夕暮れの闇の色に染まり始めている。 昼休みから今までの時間に、俺の周りで何があったのかは、ほとんど憶えていない。その間俺はずっと、目覚めているより、眠っているほうに近いんじゃないかというような状態にあった。 涼宮 ハルヒが 死んだ 何故ハルヒが死んだのか? そんなことを考える余裕はなかった。 俺は自分の犯した過ちの大きさに押しつぶされていた。 できるなら、本当にそのまま押しつぶされて、虫けらのように潰されてしまいたかった。 ああ。 俺は何をしていた? ハルヒはあの日からずっと、俺の見つけ出せる場所に居たのだ。 なのに俺は、ハルヒを探すこともせず…… 俺は、何をしていた? 「……キョン君?」 ふと、右方向から声を掛けられる。 俺は長い時間をかけながら重く錆び付いた首の間接を回し、声のした方向に顔を向けた。 「……長門」 半開きのドアの向こうに、眼鏡越しの大きな瞳で俺を見つめる、長門有希の姿があった。 「……あの……朝倉さんが、見つからなくて」 長門は敏感にも、俺の様子が普段と異なることを察したのだろうか まるで何かにおびえるように、恐る恐ると言った様子で、俺にそう言った。 朝倉。 そうだ。朝倉涼子が消えた。そんなこともあったな。 ……それにしても、長門は何故、こんな遅くまで、校内に残っているのだろうか。 朝倉を探していたのだろうか。今の今まで? しかし、校内をいくら探しても、朝倉がいるわけがない。 では、長門は何をしていた? 「……あなたの携帯電話、つながらなかったから……」 携帯電話。そんなものの存在は、今の今まで忘れてしまっていた。俺はたった今よみがえったばかりの死人のような手つきで、ブレザーのポケットから携帯電話を取り出す。そこには、長門からの着信の形跡が、確かに残されていた。ついでに時刻を確認する。午後七時。よくもまあ、この時間まで校内にいて、教師か用務員に見咎められなかったものだ。 「俺を……探しにきたのか?」 俺が訊ねる、長門は少しだけ、躊躇うようにうつむき 「……あなたまで消えてしまうような気がして」 そう、呟いた。 いやな、長門。 俺は丁度、いっそこのまま消えちまいたいと思っていたところだよ。 俺はいい加減、自分のこのバカさ加減に嫌気が差してたところだ。 「……どうし……たの?」 「長門」 なあ。長門。 俺はどうしてこんな目に会わなきゃならないんだ? 教えてくれよ。 いつもみたいに、お前の力で助けてくれよ。 出来るんだろ、本当は? 「キョン君……」 「……頼む、長門」 何かを考えるには、あまりにも頭の中が散らかりすぎている。 それはもう、二度と片付けようのない。取り返しのつかない有様だ。 このまま全てを忘れて、眠ってしまいたい。 これ以上なにもしたくない。 俺にできることなど、もう、何一つないのだ。 いや。はじめから、何一つなかったのかもしれない。 こんな、大馬鹿者の俺にできることなど。 何故俺はこんな場所にいる? 何故、何一つできない俺を、こんな場所に連れて来たんだ。 誰が。 何の為に。 わからない。 何一つ。 冷たい空気に触れ続けていた俺の耳が、ふと、温かい何かに触れた。 同時に、やはり冷たくなってしまった俺の鼻腔に、降ろしたばかりの毛布のような匂いが触れる。 凝り固まってしまった首が、何かに引き寄せられ、額が柔らかな何かに押し付けられる。 「…………」 「……長門」 椅子に腰をかけたままの俺の頭を、いつの間にか傍らまでやってきていた長門が 大事な何かを抱える子供のように、俺の頭に手を回し、胸に押し付けていた。 「……ごめんなさい、私、何も……これくらいしか」 頭の上で、長門の声が聞こえる。 すこし鳴き声にも似た、震えた声。 ……何故長門が、此処にいるんだっけ? ああ、そうだ。 俺を探しに来てくれたんだったか。 ……長門。 そうだ、長門は…… たった一人、この世界に迷い込んでしまった俺を、見捨てずにいてくれた。 俺をもう一度、文芸部室の中に存在させてくれた。 そうだ。 長門はいつだって俺を、助けてくれた。 いつだって、やり方は違えど 長門は俺の助けになってくれた。 そう、今も。 俺は何がしたいんだろうか? 元の世界に戻りたいのか。 それとも…… ―――ああ、もしかして、俺は。 大馬鹿者の俺は。 この世界に、早くも居心地のよさなんてもんを、感じちまってるのか。 俺がいて、長門がいてくれる、この世界に。 ……もう一度聞く。 俺は何をするべきか? 俺は何のために何をするべきなのか? 分かるわけないじゃないか。 俺のわからないことの答えは―――いつだってそこにあった。 「長門」 長門の胸から顔を起こし、眼鏡の向こうの瞳を見つめる。 俺の行き先と、目指す場所――― 大げさに言うならば、俺の運命は、いつだって。 長門の示す先にあったじゃないか。 「……お前は、何を望む?」 しばらく考えた挙句、出てきたのは、そんな言葉だった。 長門は一瞬だけ、俺を異様がるような表情を浮かべそうになったが 次の瞬間―――大きな瞳の奥に、一瞬だけ、かつての長門に似た炎をともし―――はっきりと、こう言った。 「……私は、あなたが悲しまなければ、それでいい」 ……長門。 本当にそんなんでいいのか? 俺は大馬鹿野郎だから、今の気分だけで、簡単に決めちまうぜ? 今、俺が悲しいこと。 言ってもいいのか。 涼宮ハルヒに会えない事だ。 それ以外になにがあるというのだ。 「長門」 頼む。 俺を導いて―― いや。 俺と一緒に、いてくれるか? 長門は言葉を放つ代わりに、俺の頭を、もう一度自分の胸に押し付けた。 暖かい。長門が触れた部分から、俺の体が溶けていってしまいそうだった。 「私はここにいる」 ◆ そうだ。 俺には長門がいてくれる。 まだ全てが終わったわけじゃない。 俺は、探すのだ。 この世界のどこかに、今も未だ眠っているかもしれない、鍵を。 俺の手で探し出すのだ。 俺と、長門の手で。 つづく
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この静かな文芸部室に違和感を感じなくなったのは、いつからであっただろうか。 以前も、約一名が欠席さえしていてくれれば、それなりに静かで、平穏な空間ではあったのだが……しかしながら。例えどれほど見かけが静かであったとしても、その部室に存在する俺を除く全ての人間が、人間でない。まともな存在ではないという、とんでもない隠し要素の眠る、悪夢のような空間だった。 そんな頃から比べれば。 今、この文芸部室には、もっとも多くてもたったの三人しか存在しない。 そして、その全てが―――(自己申告ではあるが)何のサプライズ要素も持たない、一介の高校生でしかないのだ。 とある高校の、とある部活動の部室に、高校生が三人。……そんな当たり前の光景の中に、自分が含まれている。その事実が信じられないくらいだ。それどころか、下手をすれば、この中で一番まともでないのは俺かもしれない。 そう。ふとすると忘れそうになるが――― 俺は今、いうなれば、異世界人なのだ。 ◆ 俺がこの奇妙なほどにまともな世界へと迷い込んでしまったのは、去年の十二月十八日。 世界は俺の日常から、いくつかの非現実的要素を奪い取っていき、その代わりとして、あまりにもまともすぎるが故に、今度は逆に胡散臭さを感じるような『まともさ』を寄越していった。 「長門さん、今日何食べたい?」 「えっと……なんでも」 「えー」 その『まともさ』の代表が、こいつらだ。 世界がSF学園ドタバタ物から、ハートフル学園生活物へと変化を遂げた二日後の、十二月二十日。俺は長門有希を唯一の部員とする北高文芸部の第三の部員となることを志願する旨を書した藁半紙の入部届けを、すっかりと柔らい表情を浮かべるようになった長門の眼前へと差し出した。 「迷惑じゃなければいいんだが」 「ううん……うれしい」 長門はすこし照れるようにうつむいた後で、すこし皺になった藁半紙を、微笑みながら受け取ってくれた。 「これから、よろしく」 「ああ」 何故文芸部に入部する気になったのか? そう訊ねられた場合、俺はこう答えるだろう。 「なんとなくであり、それしかなかったから」 長門有希は、俺がかつて存在してた世界で頼りにしていた人物の中で、唯一、この世界においても、俺のことを拒まずにいてくれる人物だった。 以前の記憶を持たない今の長門にいくら縋ったところで、俺を元の世界に返してくれはしないことも分かっている。しかし、だからと言って。元の世界に戻るために何をしたら良いのかなど、俺にはさっぱり分からなかったのだ。 あと、まあ―――率直に言って。 感情豊かに生まれ変わった長門に惹かれていたというのも、理由の一つとしてないわけではない。 はい。とにかく、そういうなんやかんやで。 俺ははれて、文芸部の一員となった。それが十二月二十日、一月ほど前の話である。 ……何? 上の文章に、矛盾点があるって? それについての説明は……これからしようと思う。 俺が入部届けを片手に、文芸部室を訪れたとき。 俺より一足早く、文芸部員の称号を手に入れていた女がいた。 「なんだか話を聞いてたら、楽しそうなんだもん」 ……思えば、その日の前の晩。長門の家での様子からしておかしかったのだ。 奴は俺に、長門のことをどう思っているのかと執拗に訊ねてきたのだ。 俺は長門の傍らで微笑むそいつに向かって、そいつに言われた『文芸部のガラじゃない』という言葉をそっくりそのまま返してやろうかとも思ったのだが……しかし。常識的に考えて、文芸部員という肩書きは、俺よりも朝倉涼子のほうが、何万倍も似合っていた。 「二人とも、よろしく」 それから一月。年末年始の休みを入れれば、部室で過ごした実質の時間は、一月にはずっと足りないが。そのほんのわずかな時間で、俺はその静かな文芸部室に慣れてしまっていた。 ◆ 俺は薄情なのだろうか? いや。一向に姿を現さない、あいつらが悪いのだろう。 そういうことにしておきたい。 ◆ 「キョン君?」 「……は?」 回想に耽っていた俺を現実に引き戻したのは、いつの間にやら俺のすぐ傍まで近寄ってきていた、長門有希の(この部分は以前と変わらない)非常に控えめな声だった。 「ああ、長門。何だ?」 「あなたも、今晩、うちで晩御飯を……」 相変わらず恥ずかしそうにではあるが、一月前と比べれば、ずいぶんと打ち解けた口調で、長門は言った。 そういえば、さっき、朝倉と二人で、晩御飯がどうのと話をしていたな。 俺は窓際に腰をかけたまま、こちらを見ている朝倉に、ちらりと視線を送った。 表情こそは笑顔を浮かべているものの、その皮を一枚めくった向こうから、何かしらの濁ったオーラを感じる。 ……俺は大丈夫だが、俺が来るとうれしくない奴がいるんじゃあないのか? 「え、そう……なの?」 「あら、もしかして私のこと?」 俺がわざと視線を逸らしながら言うと、朝倉は白々しく驚いた表情を見せ 「何を言ってるのよ、同じ文芸部の仲間じゃあないの。大歓迎よ。ああ、でもそうね。あなただけは家が遠いし……それに、女の子の一人暮らしのマンションに、あまり遅くまで男の子が混ざっているというのも、私にも、長門さんにも、あなたにも、ひいてはこの北高全体で、あまり望ましいことじゃあないかもしれないわね」 朝倉は、芝居がかったいかにもという口調で、言葉の端々に俺を拒まんとする感情を込めながら、長いセリフを、流暢に、なんと一息で話しきった。……こいつ、やっぱり人間じゃあないんじゃないのか。 そんな朝倉の言葉を聞き、長門はというと……朝倉の言葉に込められた怨念を感じ取ってか、気づかずになのか、理解不能。とでも言いたそうに眉を顰め、俺と朝倉の顔を交互に見比べていた。 ……まあ、俺は遠慮しておくわ。 俺が朝倉の発するオーラにやられ、兎に角さっさと話を終わらせてしまおうとした直前。 「……まあ、別に大丈夫か。長門さんがいいなら、私はぜんぜんかまわないわよ」 「じゃあ」 朝倉が肩をすくめながらそう言うと、長門はすぐさま表情を明るくし、俺を振り返った。 朝倉はというと、言うが早いか、早くもこの案件に興味はありませんとでも言わんばかりに、コンピューターの画面に視線を移し、寝ぼけたムカデの足取りのような手つきでマウスを弄っていた。 「じゃ、また帰りにスーパーに寄っていきましょっか。荷物もちもいることだし、張り切っちゃおうかな」 最後に、視線を動かさないままそう呟き、朝倉はすこし笑ったようだった。 ◆ 『朝倉の笑顔』。 俺にとってそれは、いついかなるときであろうと、丸ごと信じ込むことはできないものだった。 どれほど楽しそうに笑っていても、あの女は、その笑顔を一枚めくった裏側に、何かを飼っている気がする。何しろそれは……かつて、俺にナイフを向けた女の笑顔とまったく同じものなのだから。 「長門さん、ズッキーニって知ってる?」 朝倉は今、俺の斜め前で、長門と二人、植物園を見て回ってでもいるかのように、楽しそうに食材を選んでいる。俺はそんな二人を見ながら、この世界に来てから、時折憶えるようになった眩暈の、何度目かに襲われる。 朝倉の手の中に、一瞬、あの日と同じナイフが握られているような気がして、左胸を高鳴らせる。 ……ほとんど病気である。 「ねえ、どうしたの?」 気がつくと、朝倉は俺のすぐ目の前までやって来ており、訝しげな表情で俺の顔を見上げていた。 「……私の顔に、何かついてるかしら?」 「いや」 俺が相槌を打つと、朝倉はすこし考えるように首をかしげた後で 「それとも……ダメよ、キョン君。私はこう見えて扱いにくい女なのよ? 好きになったら痛い目を見るわ」 「……憶えとく」 ―――別に好きにならなくとも、痛い目にあいかけたんだがな。 俺の反応は朝倉にとって面白いものではなかったらしく、すぐにまた、長門と二人で商品を眺め始めた。 見ると、朝倉の転がしているカートの籠には、とても一食分の料理の材料とは思えない量の食材たちが、数少ない余白を埋めあうようにして、几帳面に隙間無くつめられていた。 ……一体誰の荷物にするつもりなのやら。 「キョン君、お酒のレジ、お願いね。あなた、老け顔だし」 この世界の法律では、老け顔が制服を着れば酒を買えるらしい。 ◆ 長門のマンションに着くなり、二人は制服の上からエプロンを付け、キッチンに立ち、食事の準備を始めた。俺が死力を尽くして運んだビニール袋の中から、次々と食材が取り出され、台所へと並べられてゆく。 「よくもまあ買ったもんだな」 「食品は、まとめ買いをして保たせるのが基本なのよ。うまくやればちゃんと保つんだから」 どうやら、今晩の分のみというわけでなく、以後数日分の食材もまとめて買ったようだ。 つまり、俺は本当にただ荷物もちをさせられたわけか。 「食事を恵んであげるんだからゼイタクは言わないの」 もっともだ。 二人の立つキッチンは、一月前にこの部屋を訪れたときと比べて、ずいぶんと雰囲気が変わっていた。 以前はほとんど見受けられなかった調理器具の類が、壁にぶら下がっている他、戸棚のところどころが朝倉の趣味なのであろう、パステルカラーの布カバーによって飾られている。 どうやら、朝倉がこのキッチンに立つのは、今日がはじめてというわけではないようだ。 「キョン君」 ぱたぱたとせわしなく動き回る二人を、コタツに足を突っ込みながら見つめていると。両手になにやら、大根の上半身と、おろし金らしき器具を持った長門が近づいてきて 「……はい」 その二つを、俺の目の前に起き、再びキッチンに戻っていった。 なるほど。このごろ流行の突き出しは、セルフサービスの大根おろしか。どれ、まず駆けつけ1杯でビールを…… 「丁寧に降ろしてね。せっかちにやって辛くなったら、ご飯の代わりに食べさせるわよ」 ……了解いたしました。 言われたとおりにたっぷりと時間をかけたものの、そもそもの大根の持つ辛さが桁外れならば、俺の付け焼刃の知恵袋攻撃など通用するはずも無く。なかなかどうしてスパイシーな大根おろしが出来上がってしまった。 俺特製の大根おろしを含む本日のディナーが、コタツの上に並び、準備は整った。メニューは、和洋中の程よく織り交ざった、なかなかに豪華なものである。ちなみに、俺の可愛い大根おろしはというと、焼いた鶏肉の角切りの上に、葱の千切りと共に乗せられていたりする。 「いただきます」 「ます」 長門の小声、朝倉の細い声、俺の声が、同時に、かつ、ばらばらに、食事の始まりを告げる。 「私ね。本当、文芸部に入ってよかったわ。こんな楽しい集いを心置きなく開けるんだもの」 朝倉は、調理の途中あたりから、妙に良く喋っている。 その理由は、俺がレジに入ったとき、渡された籠の中に、料理用とは別の酒類の姿があったことから、俺も長門もなんとなく想像がついている。 むしろ、長門は共犯者か。 「別に、文芸部に入る前だって、お前らはよく二人で飯を食ってたんじゃないのか?」 「それはそうだけど、私も長門さんも貧乏学生だもの。部費を使えなかったら、こんなに手の込んだ食事、できないし」 あの材料は部費で買ったのかよ。 「いいじゃない、これも文芸部の活動でしょ? 部員たちが親睦を深めるための集いじゃないの」 聞こえはいいが、さすがに部費で酒を買うのはまずいだろう。 「言わなきゃわからないわよ」 それもそうだが。 「……で、親睦は深まってるのか?」 「あら、だって私と長門さんは、深めるまでも無く親密だもの。ね、長門さん?」 「うん」 アルコールの恩恵を受け、いつに無く猫なで声となった朝倉に詰め寄られ、長門はすこしだけ困ったような仕草を見せつつも、それを拒むつもりはないらしく、微笑みながら肯いた。どこかためらいがちなように見えるのは、もしかすると、俺に気を使っているのかもしれない 「あの……キョン君も」 「俺か」 長門が俺の名前を呼ぶと同時に、朝倉の目がちらりとこちらを向く。 しかし、俺の背筋に何か悪いものが走ることはない。 「もちろん、キョン君も、文芸部の仲間なんだから。長門さんはね、あなたに早く、私たちともっと打ち解けてほしいと思っているのよ。そのために、今日だってあなたを呼んだんだから。ね、長門さん」 「あ、朝倉さん?」 朝倉は、一瞬何かを考えるように視線を泳がせた後に、いつもの笑顔にすこし頬の赤みを足したような表情で、例によって長いセリフを一息で読みきった。その内容を聞き、長門があわてたように目を見開かせ、朝倉と俺の顔を交互に見つめている。 長門が、俺の為に? 「鈍感よね、あなた。長門さん、苦労するわよ」 「あ、えと……」 硝子のコップ(何が入っているやら)を傾ける朝倉が、一瞬、何かを憂うように、瞼を伏せた気がした。 俺の知らないうちに、魔法の水は俺と長門のカップにまで及んでいた。 控えめながらもテンションのあがった長門と、言うまでも無くイケイケモードとなった朝倉の二人は、食事があらかた済んだあとも、しばらくの間、ふたりして楽しそうに笑い合っていた。 テレビのある食卓が基本な家庭で育った俺にとって、お互いの会話のみでこれほど盛り上がれるというのは、理解しがたいことであると同時に、なんとなく羨ましいことでもあった。 ……かつては人ならざる者として俺の前に現れた二人を、俺は今、同じ人間として羨ましがっている。 不思議なことである。 ◆ 気がついたときには、長門はアルコールの魔力によって、夢の中へと旅立ってしまっていた。食事を始めてから二時間。世の中は徐々に、夜から深夜の空気をまとい始める時間である。 「ダメよ、後片付け。手伝ってくれないと」 鞄を持って立ち上がった俺を呼び止めたのは、まだわずかに赤い頬で、テーブルの上の皿を重ねていた朝倉だった。 「もういい加減時間がまずいだろう」 「あら、だからって私に全部任せていっちゃう気? それはひどいんじゃない? 同じ文芸部員として平等じゃないわ」 「そうは言っても」 「誰にも見つかったりなんかしないわ、夜だもん。ほら、そっちのお皿持って」 押しの強い女ほどに逆らいがたいものも、この世にはないだろう。 言われるがままに、俺は袖を通したブレザーを再び脱ぎ、鞄を床に置き、テーブルの上に詰まれた皿を片付け始めた。 朝倉は、流し台に運ばれた皿を、上に積まれている物から順にスポンジで擦り、蛇口の水をくぐらせてゆく。手早いものである。 「朝倉」 手持ち無沙汰になった俺は、再びコタツの中へと足を突っ込み、流しに立つ背中に向けて声をかける。 朝倉がこちらを振り返ることはないが、代わりに、すこしかすれた声が返ってきた。 「何?」 「長門が俺を誘った理由、あれ、本当の話なのか」 「ええ、そうよ。嘘なんてついてどうするの」 そこまで言うと、朝倉は一度流しの水を止め、肩越しにこちらを見た。 「気づいてないのかしら? あなた、まだまだよそよそしいのよ。長門さんにも……私にも、かな。一応」 気づいてないわけじゃないさ。 俺は口には出さずに思う。 いくらこの世界に慣れ初めてはいるとは言え、やはり俺にとっての本当の長門とは、あの長門なのだ。 そして、俺にとっての文芸部室とは、やはり、あいつらと共に在るべき空間なのだ。 「……でもね」 長門は俺の向かいで、上半身のみをコタツから生やしながら、寝息を立てている。 小さく、気がつけば消えてしまいそうな寝息だ。 そのわずかな寝息をかき消すように、朝倉が呟く。 「あなたはあなたなのよ。今の長門さんにとっては」 夏の終わりに、虫が最後の一声を呟くような、そんな弱弱しい呟きだった。 コタツの暖かさと、体の中にわずかに残るアルコールによってぼやかされた俺の意識は、朝倉の呟きの意味を理解することは出来なかった。 ………… 「キョン君。私はね、長門さんが好きなのよ」 「見れば分かる」 「だから、長門さんと会えたとき、うれしくて仕方なかった」 朝倉はいつの間にか、キッチンを離れ、長門の傍にしゃがみこみ、いとおしそうにその頭を撫でていた。 寝言のような声色で話す朝倉。俺はぼやけた意識で相槌を打つ。 長門は寝息を立てる。 「あなたが羨ましいな」 「お前のほうが長門と仲良しじゃないか」 「違うんだな、それが」 「じゃあ、お前と長門は何なんだ」 不意に、朝倉の言葉が止まる。 朝倉が話すのをやめてしまうと、世界からは、長門の寝息以外の音が消えてしまったかのようになった。 「……わからないわ。私にも」 しばらくの沈黙の後、朝倉は呟き再び長門の頭を撫でた。 「長門さん、好きよ」 「あなたに会えて、よかった」 そして、その翌日。 朝倉涼子は、俺と長門の前から姿を消した。 つづく
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痴漢(hentai) 360@UMINEKO ウィキ:用語 痴漢とは初代Xbox時代にアンチによって付けられた、Xboxユーザーの蔑称。 一般的には、エロい事を、表でやってしまう人のこと。 由来 記念すべきXbox発売日、大手ゲームショップの行列に並んでいたキモブーにTVインタビューのマイクが付きつけられた。 「お目当てはXboxですか?」 「いえ、”陵辱痴漢電車”です。Xboxももちろん買いますけどね」 Xboxユーザー=痴漢の呼称が決定した歴史的瞬間であった。 わざわざこのフィルムを使った放送局に悪意がなかったはずがない。 PS3発売日のときの「物を売るってレベルじゃねーぞ!」ももちろん悪意による報道である。 補足 任天堂ハード信者を妊娠 SONY信者をGKと呼ぶ